カイコクとはマーケティング・デザインスキルを持つ優秀な人材と企業様をマッチングをする、複業・副業支援サービスです。
伴 大二郎 :合同会社db-lab 代表/CEO
株式会社ヤプリ エグゼクティブスペシャリスト
株式会社顧客時間 プロジェクトマネージャー
KAIKOKU SPECIAL COACH八田 浩 :株式会社ロケットメイカーズ 代表取締役社長
中島 優太 :株式会社スプラシア 代表取締役社長
山元 ほるん:クラウドサーカス株式会社
グロースマーケティンググループ1課
コンサルタントマネージャー兼セールスディレクター
神田 静麻 :株式会社ヤプリ マーケティング本部
宮本 舜 :株式会社BLAM 執行役員 兼 社長室室長
ビジネスを取り巻くさまざまな環境が変化し、デジタル活用や事業・組織の変革が求められ、営業活動の大きな見直しが必要な時代に突入しています。
あらゆる分野でデジタルの活用が急速に進む中、営業やマーケティングにおいてもオンライン化や働き方の変化が起こり、デジタルツールを導入する企業が増えてきています。
一方でデジタルツールを導入したものの、「上手く活用できていない」「売上貢献に繋がっているか分からない」など、苦戦されているお声を多く伺います。
本カンファレンスではマーケティング/セールスファネルの各領域において、DX支援サービスを展開している「DX最前線のプロフェッショナル」をお招きし、最新情報やトピックスについてパネルディスカッション形式で議論します。
マーケティング・セールス領域への取り組みを強化し、さらなる成長を狙う企業のご担当者さまはぜひ参考にしていただけますと幸いです。
司会進行 中島
本日はお忙しい中ご参加をいただきまして誠にありがとうございます。
私は普段はBtoB企業様を中心にマーケティングの戦略立案、各種施策の実行面をサポートさせていただいております。
タイトルにもあります通り「BtoBマーケティングDXカンファレンス2022〜BtoBマーケ・セールスの組織力を向上させるDX~」というテーマでマーケティングDX領域のプロフェッショナルな方々を本日お招きして、こちらのカンファレンスを進行していきたいと思っております。
今回のカンファレンスの開催背景を説明させていただきます。
BLAM 加藤
皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
現在BLAMではマーケティング領域のDX化を支援する「マーケティングDX部」の部長を務めています。
BLAM 加藤
さて本日のセミナーの背景を簡単にお話させていただきます。
これら、DXに関する現状の二つの調査を示しております。
左側がPwCコンサルティング合同会社が行った調査となっており、いわゆる大企業でのDXの取り組み状況を表しています。
今、DXに関する取り組み状況は、60%近くの企業が経営戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいると回答しています。
また、その中で10%近くの企業が十分な成果が出ており、55%近くの企業様は何かしらの成果が出ていると回答しています。
BLAM 加藤
一方、右側の円グラフは独立行政法人中小企業基盤整備機構の行った調査であり、いわゆる中小企業を中心としたDXに関する取り組み状況を表していますが、
「既に取り組んでいる・取り組みを検討している」という企業を合わせても約2割程度で、逆に約4割の企業様が取り組む予定はないと回答しております。
ここから言えることとして「大企業と中小企業ではDX格差が生じている」ということです。
では、こういったDX格差はなぜ発生するのでしょうか?
弊としても中小企業のDXを支援することが多く、その経験からしても、その回答を一言で表すならば「本当に売り上げに繋がるのか?」が重要な要素の一つであると考えております。
BLAM 加藤
ここで皆さん、デジタイデーションとデジタライゼーションという言葉は聞いたことありますでしょうか?
簡単にお伝えすると「DX」、右上のデジタルトランスフォーメーションに至るまでの、デジタル化のフェーズ分けというようなイメージを持っていただければと思います。
今現時点で「DX推進している、成果が出ている」としている企業の多くがデジタイゼーションで止まっており、デジタルトランスフォーメーションはもちろん、デジタライゼーションにも至れていない企業の方が多い印象です。
もちろんデジタイゼーション自体に意味はあるのですが、それだけでは真の意味でのDX推進の意義というものは、なかなか見出しにくい状況となっています。
つまり先ほどの問いにあった通り、売り上げや業績に本当に繋がるのかという問いに、なかなか回答できない部分かなと考えております。
BLAM 加藤
我々はマーケティングDXという言い方で、この図の濃い青い部分について、営業でしたりとかマーケティングのデジタル化を中心に支援させていただいております。
これらの領域は他の領域と比較して、取り組みの難易度が高く、なかなか踏み出せずにいる企業が多いです。
一方、そのハードルがあるがゆえに、確立できることによる競合優位性への寄与度は高い領域でもあります。
マーケティングDXの目的としては、デジタル化をしている顧客への提供価値を高めてデジタルを活用して売り上げを向上させていくことです。
今日はそういった領域で支援されてる企業の皆様をお招きしてお話をさせていただきます。この機会を通じて何か一つでもイメージできるヒントとなりましたら幸いです。
司会進行 中島
加藤さんありがとうございました。
では次のセッションに移りまして、ここからキーノート、そしてパネルディスカッションの方に進んでいきます。
本日ファシリテーターを務めていただきますのは、カイコクスペシャルコーチにも就任をいただいております伴大二郎さまです。
それでは改めて伴さまよろしくお願いいたします。
ファシリテーター 伴氏
カイコクスペシャルコーチという形でBLAMさんのお仕事もお手伝いさせていただいております。
また、今日登壇しているヤプリで正社員として働きながら、起業もしており、色々な形で様々な仕事をさせていただいております。
私個人として得意領域はBtoBではなくてBtoCのDX支援になります。
そのため、わたし自身もご参加いただいている方々と一緒に学びたいと思っておりますので、代弁して色々と質問していきたいと思っています。
ただし、BtoCのDXでも同じようなところ、特に考え方は近しかったり、BtoCの方が進んでいたりもしますので、その辺だけ少しお話をさせていただいて、この後のキーノートに繋げたいなと思っております。
ファシリテーター 伴氏
DXは分解すると、デジタルとトランスフォーメーションですが、やはり大事なのは「トランスフォーメーション」の方です。
デジタルの広告、SNSも大事なのですが、それよりもKPIがどう変わるのか、人の働き方がどう変わるのか、そして役割がどう変わるのかっていうところです。
特にこの中で海外の企業は非常にDXを進めた企業が多いのですが、何が一番変わったかというのが、稟議のスピードや判断するスピードです。
デジタル云々の話もありつつ、DXという中で組織の判断スピードなどを早めていかなければいけないというのが、一つ大きなポイントかなと思います。
その上でデジタルが得意なことっていうのは「脱属人化」です。
BtoBの営業も特に属人化していて「売る営業パーソン」と「売れない営業パーソン」が出てきたりもするのですが、脱属人化のためにデジタルを使うことで、今度はやりがいがなくなって来たりします。
「人」の価値の見直しながら、やりがいがある脱属人化ができる状況を作っていかなければなりません。
この辺りはキーノートにて八田さんからご説明もあると思います。
八田さんよろしくお願いします。
ロケットメイカーズ 八田氏
ロケットメイカーズの八田と申します。よろしくお願いします。
私は2001年に証券会社でBtoCの営業としてキャリアをスタートさせて、その後2004年からデジタルマーケティングのオプトという会社に入りました。
前半が営業パーソン、後半が営業パーソンに「何を売ってもらうか」ということがテーマとしてありました。
今回のテーマであるBtoBマーケティングに関しては、後ほどスライドでも申し上げますが、先ほど伴さんもおっしゃった通り、非常に遅れている分野だったと思います。
逆に、この10年で一気に進化した部分でもあります。ですのでそこのあたり専門家の皆さんにぜひ細かいところは聞いていただければと思っております。
ロケットメイカーズ 八田氏
本日のメインテーマは「BtoBマーケティング&セールスデジタル化のお悩み解決」と私の方ではテーマを解釈しております。
DXというと「デジタルなツールを入れなければならない」と一般的に考えると思いますが当然そうではありません。
どちらかというと「昭和・平成の知(アナログ)」と「令和の知(デジタル)」を掛け算をすることが、DXに向かっていくことの一つなんじゃないかなと思っています。
先ほど伴さんからのお話にもあった通り、BtoCは非常にDX化が進んでおり、BtoBは約25年遅れているという論文もあります。
また、近年では顧客の行動変化により、営業に会うまでに57%の購買プロセスが完了しているという研究結果もあります。
これは一つのデータとして顧客の行動変化が起きている証拠と言えるでしょう。
さらに、労働集約モデルからの脱却も起きています。
営業職が急減し、営業事務が急増しているというデータもあります。
この辺りを詳しくお話していきたいなと思っています。
ロケットメイカーズ 八田氏
一つ目ですね。
2014年に出ているストラテジーandトレンドinBtoBビジネスという論文があります。
そこには「BtoBマーケティングはBtoCよりも後回しになっていた」とここに明確に書かれています。
1970年代に既に25年遅れであると研究がされています。
ただし、2014年段階ですが、マーケティング専攻の学生の半分はBtoBを今は先行しているそうです。
これはアメリカの話ですが日本では状況が異なり、BtoBマーケティングDX化が明確に遅れていることを認識する必要があります。
一方で、日本でも非常にこれから伸びていく分野だということも言えると思います。
ロケットメイカーズ 八田氏
続いて二つ目の「営業に会うまでに57%の購買プロセスが完了している」についてです。
2011年に出ている顧客の行動変化に関するリサーチ結果です。
例えばですが、営業パーソンに相談する前に、検索してツールを比較したり仕入れ先を探すとか、購買行動をする際にBtoCよりも、ウェブ上の行動の方が多くなってるという点です。
「顧客の行動が分かるようになっている」というのがこの結果からも言えるかと思います。
そして、顧客はサプライヤーとの商談を遅らせることを選択しているとも言えます。
昭和、平成の世の中で営業パーソンとして成果を上げてきた人は顧客にアポを取って
「うちの商品を説明させてください」ってのを当然のようにやっていたと思います。
しかし今は、例えばSaaSのツールであればいろんなツールを検討して「よしこれにしよう!」という段階で問い合わせをして、営業パーソンとの面談に望むということがあります。
そのため、営業に合う前に57%の購買行動が終わっているという事実があるということです。
ロケットメイカーズ 八田氏
三つ目は「労働集約モデルからの脱却」についてです。
これは日本のデータです。
この15年間で130万人の営業パーソンが消滅したという記事があります。
左端の1955年(昭和)から営業パーソンの数は増えてくるのですが、2000年代を境に急激に落ちています。
生産人口が減っていることも当然あるのですが、流通構造の変化、いわゆるインターネットが進化したことが大きな要因と言えます。
それから、アウトバウンドからインバウンドへの移行も大きな要因と言えるでしょう。
アウトバウンドは「営業パーソンが顧客に連絡をしてアポを取りに行く」といった営業活動を行いますが、今はどちらかというと「問い合わせが来てから説明しにいく」といったインバウンドが主流となっています。
つまりお客さんの気持ちが高まってから説明しに行くことが、ウェブの発達によりできるようになってきました。
続いて営業事務職の増加も営業パーソンが消滅した要因の一つです。
いわゆる一般的に言うインサイドセールスみたいなものを想像しているのですが、約15年で52万人から70万人に増えており、実感値としてもかなり増えていると感じます。
こういった行動の変化により、労働集約モデルからかなり変化してきているという事実があります。
ですので、BtoB営業におけるマーケと営業のDXというのは冒頭の加藤さんのお話でもありました通り「一番右上に属している」とても難しい分野の一つなんじゃないかなと思っています。
それからもう一つ個人的に思うのは、今の経営層は「昭和・平成」のやり方で成功した人達ですから、新しいやり方を受け入れづらいということもあるでしょう。
仮に、現場から「デジタルのツールを入れてBtoBの営業を変えましょう!」と言ったところで「ふざけんな!今すぐアポ取って顧客んとこに行け!」みたいなことになってしまいがちです。それがDX格差の一つにもなってると思います。
そういった難しさはもちろんあるのですが、一つ一つ紐解いていくと、そんなに恐れるほどでもないのかなと個人的には思っています。
ロケットメイカーズ 八田氏
アカデミックの世界でも、BtoBマーケの専門家がとても増えたと感じています。
この後お話しますが、いわゆるBtoBのマーケティングのモデルというのがある程度、確立されてきたなと思っています。
当然そこに問題点はいろいろ孕んでいるのですが、アカデミックな人たちが増えたことによって、やりやすさが増したんじゃないかなと、個人的には思っています。
それから顧客の行動が分かるようになった。
これはもうツールの話でいいかなと思っていますが、最適なツールが昔より安く・安価に投入することができるようになっています。
それにより顧客の行動がよくわかるようになってきました。
57%の購買行動のプロセスが、手に取るようにわかるので、これは明らかに10年前よりもやりやすくなっていると思います。
営業パーソンの人海戦術が通用しなくなったということです。
ここは分業もありますし、組織全体として解決していけるんじゃないかなと思っております。
それから、これは先ほど申し上げた「モデル」の話です。
「リストの抽出から受注、継続取引に至る」いわゆる「The Model」と言われているようなBtoBのマーケティングモデルがあります。
今回、最後に申し上げたいのはこの「継続接触リストボックス」についてです。
当然、左から右に、例えばリストの段階で1万社あったとします。
でも、リード獲得できたのは1000社で、そこから商談になったのが100社で、受注が10社、と当然減っていきます。
基本的には、その数がどんどん減っていったのがこの継続接触リストになっていくわけですが、ここに色々な問題があります。
例えば、「SFAやCRMツールを導入したがうまく社内で機能しない」といったことです。
ツールを入れただけでは当然そうなるのですが、これをどうやって解決させていくのかというところが非常に重要になってきます。
営業パーソンがSFAツールの入力を面倒がる。これは「昭和・平成」型の属人営業がよく陥るパターンです。
新しいツールを導入するには少なくとも一定の学習コストが発生するので、そこを嫌がる営業パーソンは多いです。
また、単純に入力に時間も取られるので、営業パーソンとしては「そんな時間があれば1件でもアポをしたい」というのが本音でしょう。
こういった背景からSFAツールを導入しても「入力しない」といったことが起こります。
SFAの入力をきちんと行うが、突破力が上がらないので左から右になかなか流れていかないという問題です。
私は肉食型と草食型と分類しており、これも解決する方法は色々なところで語られてきていますが、例えば肉食型であれば「この入力をすることによって自分の成績が上がる」ということをいかに感じてもらうかだと思います。
それから草食型に関して言うと、共有と集合知と私は名付けてますが、結果を出すアイディアを貯めておくツールと伝えます。
例えば「アポ率が高まる」「商談化率が高まる」「受注率が高まる」などです。
そういったアイディアを皆で共有してアクションをルール化することで成果につながると伝えればよいのです。
これはツールの進化によって、かなりできるようになったと考えています。
それでこのリストの抽出からリードの獲得など、それぞれの取引のステージにおいて進行していくときに、この赤い点線があるのですが、ここにやはり営業やマーケのドラマがあるのです。
「ただのリストから、リードになる瞬間」「リードから商談になる瞬間」というのはSFAツールに入力するとすごく楽しい瞬間ですが、ここを突破するためにはやはりツールだけでは解決できません。
昭和・平成の集合知みたいなものが非常に重要になってくると思っていますし、これは組織で十分解決できる問題だと思っています。
これはツールの進化によって、かなりできるようになったと考えています。
それでこのリストの抽出からリードの獲得など、それぞれの取引のステージにおいて進行していくときに、この赤い点線があるのですが、ここにやはり営業やマーケのドラマがあるのです。
「ただのリストから、リードになる瞬間」「リードから商談になる瞬間」というのはSFAツールに入力するとすごく楽しい瞬間ですが、ここを突破するためにはやはりツールだけでは解決できません。
今日この後、この解決策についてはパネルディスカッションの皆さんから、おそらく素晴らしい解決策がたくさん聞けると思います。
私のキーノートのパートでは「平成の知と令和の知というのを掛け算する」これをDXのミソとしていきたいと思っております。