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ゲーム理論とは、複数の意思決定者(プレイヤー)が互いに影響を及ぼし合いながら意思決定を行う状況を分析する理論です。
「ゲーム」と名付けられた理由は、相手の意思決定が自分の意思決定に影響を及ぼすという構造が、チェスや囲碁といった対戦型ゲームに似ているためとされています。
このゲーム理論が企業経営や必勝戦略の手法として注目される理由は、現実の状況に基づき、各プレイヤーが最適な行動をとることを前提に分析を行うためです。この手法は、競争や協力の場面で効果的な戦略を見つけるのに役立つとされています。
1944年にフォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが執筆した「ゲーム理論と経済構造」の出版によって世界的にゲーム理論が広まりました。
その後の1950年にナッシュ均衡が定式化したことでゲーム理論の分析が、標準的な均衡概念として確立されたと言われています。
「囚人ジレンマ」はゲーム理論ではとても代表的なモデル例として取り上げられています。ここで、以下の状況を考えてみてください。
犯罪を犯した容疑者が2名います。(ここではA容疑者とB容疑者としましょう。)
各々別室で尋問を受けることになりました。二人の容疑者に与えられた選択肢は「自白する」または、「自白しない」の2択です。
そして、自白の状況によって彼らが受ける罪の重さが変わってくることにします。
上記のように、懲役の長さが変わったり、無罪になる可能性があったりる場合、各容疑者はどのような行動を選ぶのでしょうか。
このような状況では、一番魅力的に思えるのは「自分だけが自白し、相手が自白しない」というケースです。この場合、自分は無罪になり、相手だけが重い懲役を受けることになります。しかし、もし相手も自白した場合、両者が懲役5年になるリスクがあります。
一方で、お互いに「自白をしない」という選択をした場合、懲役は2年ずつとなり、最も軽い結果となります。
容疑者AとBが互いの利益を考慮した場合、「自白をしない」を選び、懲役を最小限に抑えることが理想的に思えます。しかし、現実には「自分だけが利益を得たい」と考えると、自分だけが自白する選択肢を取る可能性が高まります。その結果、「お互いが自白しない」場合よりも懲役が3年長くなるケースが生じるのです。
このように、お互いが自分にとって最適な選択をしたにもかかわらず、協力した場合よりも悪い結果になる状況を「囚人のジレンマ」と呼びます。この囚人のジレンマを理解するためには、「パレート最適」と「ナッシュ均衡」の概念を知っておくことが重要です。
パレート最適は、お互いの不利益な状況を避け、全体の利益が最大化されている状態のことを言います。
言い換えると、これ以上にない利益を出すためには、誰かの犠牲も惜しまない状況とも言えます。
なので、「お互いが自白をしないで、懲役2年を受ける」ことが、この囚人ジレンマのパレート最適と言えます。
一方で、ナッシュ均衡は、各自が自分の最適な戦略を選択肢をとり、自らの戦略を変更する理由がない安定的な状態(つまり、均衡)である組み合わせのことを言います。
先ほどの、パレート最適では、お互いが自白をしない状況が最適でしたが、もしも、相手が裏切って自白をした場合、懲役10年を受けることになります。
その場合、お互いが「自白をする」選択肢を取り、自分の選択肢を変更できない状況になるでしょう。
そのため、この囚人ジレンマにおいてのナッシュ均衡は、お互いが「自白をする」選択になるのです。
まとめると、この囚人ジレンマは各々にとっての合理的な選択肢であるナッシュ均衡と全体の利益を最大化したパレート最適の状況が一致せず、矛盾している状況を意味しているのです。
ビジネスの場面でのゲーム理論は、先ほどの囚人ジレンマのようなパレート最適とナッシュ均衡の矛盾から、ポーカーや宝くじといった親の利益が存在するようなギャンブルまで様々な種類があります。
しかし、どのビジネスにおいてもゲーム理論の上では、自分の行動が他の人に影響を与え、他のプレイヤーを気にすることで自分の行動も変わる状態が付き物です。
実際には、企業経営の中での意思決定やビジネスの交渉戦略を考える際に、ゲーム理論が活用されるケースが多々あります。
そして、それ以外にも社会生活や人間関係、市場経済にもゲーム理論を必要とする場面が存在します。
そのため、企業はゲーム理論の専門家などに企業戦略の策定から交渉をしてもらう場合も多くあります。
ここから、ゲーム理論を取り入れた実例を紹介していきます。
ここでは、大手携帯電話各社が提供しているサービスの料金体系が同金額な理由をゲーム理論と交えて考えて見ましょう。
国内の大手携帯会社と言えば、SoftBank、au、docomoが挙げられます。
この3社とも携帯料金の月額料金が8,000円だと考えましょう。こういった状況の際に、auが月額料金を7,000円に引き下げたとします。
すると、SoftBankもdocomoの利用者が料金の安いauに乗り換えるのは明白だと思います。
その結果、auが市場を独占する状態になる可能性があります。その状況を、考えた(ゲーム理論:自分の利益を最大化するために、相手の行動に応じて、自らの行動が変更すること)SoftBankもdocomoも月額料金を7,000円に下げます。
こうして、自社の利用者が他社へ乗り換えることを防ぎます。
しかし、1社が市場を独占したいが為に、価格を下げていくと携帯会社が得る1人あたりの利益がどんどん下がって行く状況になります。
企業側としても利益が下がることも避けたいため、他社の行動を考え、合理的に考えた結果どの会社も携帯料金を下げることをしなくなるのです。
近年、世界的にも注目されているプラスチックのゴミ問題も、先ほど紹介した囚人ジレンマの例を元に、考えることができます。
そもそも、プラスチックは便利で快適な生活をする上で欠かせない物ですが、環境問題を考えると脱プラスチックにする必要があります。
実際のところ、脱プラスチック化に向けた取り組みには多大なコストがかかり、企業は脱プラスチック化に向けた行動として値上げをせざるをえず、顧客を失うリスクがあるのです。
こういった状況も、ゲーム理論で考えると相反する行動を取るケースがあります。
いかがだったでしょうか。
ゲーム理論は、ビジネスをする上では欠かせない行動プロセスのひとつです。
また、日常生活においても、あらゆる社会現象や経済現象の中で自然と適切な行動の選択を取っているはずです。
※参考記事:
https://www.macromill.com/research-words/game-theory.html
https://diamond.jp/articles/-/175827?page=2
https://orenocloud.tokyo/cloudinfo/useful/GameTheory.html
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