生データから紐解く顧客・事業の課題解決方法とは

生データから紐解く顧客・事業の課題解決方法とは

1.LabBaseのプロダクトマネジメントとして何をしているか

株式会社POLという会社でLabBaseというプロダクトのPdMをしています。
LabBaseは、理系学生のLinkedinのようなプロダクトで、理系学生が自分の研究内容をプロフィールに記載すると、研究者を求めている企業からスカウトが届くというものです。

今回私は自分が携わる事業において、普段どのようにプロダクトデータを計測し分析しているかを紹介させていただきます。弊社では分析チームというものがないので、PdM・エンジニア・デザイナーが所属するプロダクト部中心にデータを抽出して分析しています。
ポイントとしては、Google AnalyticsやAdobe Analyticsのようなツールだけでなく、自ら生のプロフィールデータを抽出し分析していることです。
ユーザーが情報登録する「データベース型」事業をされている方々を中心に、何かお役に立てればと思います。

2.データ分析で実施していること

弊社がデータ分析をする際に利用しているツールとしては、Google Analytics,Search Console、Karte、redashがあります。
もちろんどのツールも各社様利用されているかと思いますが、データ分析の方法はトレンドだけでなく、プロダクト・ビジネスモデルによって最適なものを選択していく必要があります。

前職ではAdobe Analyticsという分析ツールを利用していました。Google Analytics同様にビーコン型のサイト解析ツールです。
リクルートは大規模なプロダクトが多く、月間数十〜数百万のトラフィックを誇るサイトが多いので、Web上での行動履歴をベースにユーザー行動を計測していることが多かったです。

一方で理系採用サービスのLabBaseは、「ユーザーが登録する情報を元に活動する採用サービス」で、ユーザーである理系大学生が自身の研究活動・将来の技術者としてのキャリア思考を豊富に登録してくれているのが特徴です。
理系学生という限られたマーケットなので、ユーザー数も多すぎるわけではありません。
もちろんGoogle Analyticsも使っていますが、Webの行動履歴データだけでは分からないことがあります。
例えばユーザーである学生がどれくらい自身のプロフィールを記入しているのか、どれくらい企業からスカウトを受信して、返信しているのかといった情報です。

私はこれらの情報を分析するために、redashというBIツールで、直接プロダクトのデータを抽出・解析しています。
本番プロダクトで集めたデータをコピーした環境に置き、そこに対してredash上でクエリを書いてデータを抽出したり、グラフ化したりしています。

3.実際の生データを触ることで事業の実態を掴む

直接クエリを書いてデータを抽出することは一見手間に見えますが、事業の実態を理解する上で欠かせない業務だと実感しています。自身でクエリを書きながら生データを見るメリットは2点あると思っています。

1点目は、ユーザーの一次データを見ることができるので、ユーザーヒアリングなどをしなくても、ユーザーを理解する疑似体験ができることです。
LabBaseのユーザーは理系学生で、普段は研究に勤しみながら就職活動をしています。
そんな彼らがどういう研究をどういう思いでしていて、社会人になってどんなことをしたいと思っている学生が多いのか。
普段利用ユーザーの方々と話をすることが多いですが、データと直接話を聞くことで、定量調査×定性調査を実施しているような感覚です。

2点目は、PdMであってもデータ構造を知ることで、次はどんなデータを入れていくかを想像しやすいことです。
PdMは、データ設計に責任を持つ必要はないと思いますが、新たな施策を打つ時に、エンジニアがどこに手を入れると楽かの認識合わせがしやすいです。
プロダクトの要求を出す時に、これは辛そうだなとか、この施策をやる前にこのデータを取れるようにしなくてはいけないなと考えることができます。

4.大切なことは顧客・事業の課題解決で、データは検証のための道具


大量データを扱うプロダクトを分析すると、分析好きの人はずっとデータを眺めても飽きないと思います(笑)。
一方で何のためにデータを分析するかと言うと、顧客・事業の課題解決をするためであって、それらができないと意味がないと思っています。
私もデータを分析する際には、「仮説」を作ってその仮説を検証するためにデータを分析するというような手順を踏んでいます。

例えば、A専攻の学生のスカウトを増やすために、「Aを専攻している学生は、業種Bの企業からスカウトをもらわない傾向が強い」という仮説を作って、学生と企業のマトリクスでスカウト受信の傾向を調べたりします。
この仮説は経験則的に作ることもありますし、どこか特異なデータを見て判断することもあります。
中でも僕が一番実践することはユーザーの生の声からデータを見て、仮説を立てるという思考です。
弊社では、企業側も学生側もカジュアルに話を聞ける場があります。
話を聞いていて「何か変だな?」とか思ったことを、データで分析してみると面白い傾向が出ていたとかはよくあります。これは定性から定量へのアプローチです。

逆に定量から定性へアプローチすることもあります。
例えばある機能の利用率が低いということが分かれば、利用率の高いユーザーに使うシーン・使う理由を聞きに行き、一方で利用率の低いユーザーには機能の認知度・利用意向度を聞くといったことをしています。

このように普段から定量と定性を行ったり来たりしていますね。
これらは使う頭が全然違うので訓練が必要かなと思います。
ちなみに先程の事例で言うと、もし業種Bの企業がA専攻の学生を採用したいと思っていることが分かれば、どのように業種Bの企業がA専攻の学生にスカウトを送ってくれるか?という打ち手を考えます。

5.今後やっていきたいこと

POLという会社は一言で表すとLabTechスタートアップで、研究業界、研究者、研究室などを取り巻く課題をテクノロジーで解決しようとする会社です。
現在プロダクトマネージャーとして、基本的にはプロダクトマネジメントトライアングルに沿った業務を実施しております。
プロダクトの戦略を描くこと、エンジニアと相談しPRDを書くこと、P/Lを引くこと、プロダクトを使うユーザーの声を拾うこともデータ分析に合わせて実施しています。

今後はプロダクトにまつわるデータを全社員が見れる環境を作っていきたいと思っています。
当社の強みは学生・企業との距離の近さであり、いつでもユーザーの声を拾える環境は既に備わっており、多くの社員がユーザーと気軽に対話しています。
そこにデータドリブンの環境が加わると、事業も組織もさらにレベルアップできると思っており、その実現を僕が主導していきたいと思っています。
生の声×プロダクトデータがあれば、ご利用企業をサクセスに導ける確率も上がりますし、学生1人1人に質の高いスカウトを届けられると思っています。
また、「データの民主化」に向けて、例えばBIツールを導入したり、主要KPIの構造がどうなっているかを説明したり、データに強い組織づくりもやっていきたいと思っています。

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この記事を書いたメンバー
田中 達規(タナカ タツノリ)様
奈良先端科学技術大学院大学で情報学修士。卒業後、2012年にリクルート入社。住宅事業のWebディレクター、新規事業のプロダクトマネージャーを経験。 2019年2月株式会社POLに入社し、現在理系就活サービス「LabBase」のプロダクトマネージャーを務めている。
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